6.もち生産組合の取り組み

名寄市モチ生産組合の取り組み

稲作北限の地である名寄において、度重なる冷害による凶作、品質低下による米価の下落などは農家にとって死活問題であった。高収益作物による農業経営の安定のため、良質米の改良に取り組んでいた木田博道さん。その熱心な研究に心を引かれ集まった仲間達で昭和36年頃に結成されたのが「稲の友の会」であった。うるち米、もち米の品種試験を積み重ね、その結果、もち米は肥培管理によってはうるち米との収量差がほとんどなく特に冷害に強いとの結論に達した。名寄の寒冷地の適地適作はもち米であると立証され、この意志が農家に伝わった。昭和45年におんねもちが奨励品種になったのを契機に賛同者が集まり生産組合づくりの準備に入り、同年4月に組合員数86名で設立総会が開催され、名寄市モチ生産組合がスタートした。

作付面積は順調に伸びていたが、天候不順によって出荷量の年変動は大きく、特に品質に大きな欠陥を抱えていた。昭和55年は冷害年であり、収穫したもち米の全てが3等米と規格外品であった。こうした中、品質向上や品質管理のための全面積もち米耕作、うるち米混入防止のための共同抜き穂、麦混入防止のための乾燥施設、機械の分離を進める。品種については、組合設立以来、冷害に強く収量も安定している「おんねもち」一本にしぼって作付してきたが、着色被害を受けやすいという弱点を有していたため、56年頃から新品種「上育391号」の試験栽培が始められた。これが後の「たんねもち」であり、59年から本格的に作付けが始まった。

昭和61年、「一戸の農家につき水田一枚は確実に1等米を作ろう」という取り組み「1.1.1運動」が始まる。この年2等級以上の良質米出荷割合が約50%に向上、昭和63年には60%、平成元年には90%に向上し、良品質米産地として確立していく。平成2年からは耐寒性、白度、もちにした時の食味、加工適正でおんねもちを凌ぐ新品種「はくちょうもち」が現れ、翌年からは全てこの品種のみの作付けとなった。平成9年からは新品種「風の子もち」の作付けも始まり、平成11年には1等米100%を成し遂げた。

風連町もち米生産組合・風連町良質米生産組合の取り組み

昭和45年に減反政策が始まって以来、過酷な生産調整によって稲作農家にとって米が作れない時代が続いた。そうした中で、稲作農家の生き残りをかけて米作りにこだわる若手中核農家の間に、長期的な視野に立ち、より安定した稲作を目指して、もち米の生産組合をつくろうとする機運が高まった。すでに生産組合が設立され成果を上げている名寄・美深の両生産組合から学びながら、もち米の安定生産と品質の向上、一括集約販売、消費拡大活動等の目標を掲げ、昭和56年9月、31戸の生産農家が参加して設立総会が開かれ、風連町もち米生産組合が誕生した。

当時、風連町のもち米作付面積は10ha前後であったが、設立翌年の57年には27トンの限度数量配分が決まったことから、良質もち米生産に向けて全組合員が一丸となって取り組み、59年には435.9haと大幅に増え、品質的にも初めての一等米が540俵出荷された。

昭和59年10月、全国農業協同組合連合会と全国主食集荷協同組合連合会のもち米生産団地指定を受けた。62年にはもち米の多用途利用米が導入され、初めてもち米作付面積(1,118ha)がうるち米作付面積(1,093ha)を上回り、単位農協作付で「もち米作付日本一」となった。その後も良質米向上を目指して研究を重ね、平成元年に90%以上の上位等級米出荷を記録。はくちょうもちの試験栽培も行われ、品質とともに食味の向上を目指した。

その後、もち米の過剰生産による余り米問題や平成7年11月から新食糧法が施行となり売れる米づくりの要請が強まる中で、平成8年9月に、町内のうるち米、もち米作付け農家全てを対象とした「風連町良質米生産組合」が設立された。これは町内に「もち米生産組合」と自主団体である「米作研究会」があり1等米生産の動きが全体のものになっていなかったため、全水稲作付け農家の組織化を図り、生産者の量から質への意識改革を行っていくことが目的であった。この良質米生産組合の設立により、生産組織を一本化して指導強化を図るべく、もち米生産組合は平成10年3月に発展的に解散となった。

名寄市もち米生産組合の誕生

名寄市モチ生産組合と風連町良質米生産組合の合併

市町村合併が進められる中、平成18年3月に名寄市と風連町が合併して新「名寄市」となった。その前年には3農協が合併し「道北なよろ農協」となっており、一つの農協管内には一つのもち米生産組合とすることを理想とし、名寄市モチ生産組合と風連良質米生産組合も合併協議を進めていた。

平成20年3月、二つの生産組合の統合が決定。それに伴い風連良質米生産組合の解散が承認された。さらなる良質米生産、販売促進、所得確保の目標達成に向けた強固な生産組織づくりを行うための組織統合として、名称を「名寄市もち米生産組合」と決定。名寄と風連の両支部で事業推進するが、風連支部では新組織設立と同時に発足された「名寄市うるち米生産組合」との共同事業も行うこととなった。

新たに活動を始めた名寄市もち米生産組合では、高品質米の安定生産に向け、1.1.8運動(1等米100%、整粒歩合80%)推進に力を注ぎ活動している。


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